釧網線と花咲線の2025年ダイヤ改正

2025年3月更新

2025年3月15日、JR各社で一斉にダイヤ改正が実施される。ここでは、その中で、JR北海道の道東にある2路線――釧網本線と花咲線(根室本線の釧路~根室間)のダイヤの変更内容を概観する。

釧網本線

釧網本線のダイヤ 改正前後の比較(主要駅のみ記載)

釧網本線では釧路発の最終列車である釧路18:54→川湯温泉20:33の時刻が繰り下げられ、釧路19:24→川湯温泉21:02となる。2024年の改正で釧路22:09→川湯温泉23:23の列車が廃止されてから、最終列車が18時台とかなり早い設定となっており、帰宅の高校生も間に合わないのではないかといった状況になっていたが、30分ほど時刻が繰り下げられることになった。

また、この列車の折り返し便である川湯温泉20:41→釧路22:16は廃止される。おそらく、この釧路18:54発の列車は川湯温泉駅に到着したあと、摩周駅まで回送されて滞泊するものと考えられる。一方、釧路17:39→摩周19:24(改正後19:01)の列車は現在滞泊運用となっているが、折り返し便である摩周19:50→釧路21:12が設定され、滞泊は行われなくなる。

網走方では、釧路行きの最終列車である網走16:20→釧路20:01や、全体の最終列車である網走20:14→知床斜里21:00が、それぞれ網走16:42→釧路20:31と網走21:00→知床斜里21:43に繰り下げられる。

また、これに伴い交換駅の変更が行われており、釧路17:39→摩周19:24(改正後19:01)は標茶駅での長時間停車がなくなり、摩周駅への到着が早くなる。

花咲線(根室本線 釧路~根室間)

花咲線のダイヤ 改正前後の比較(主要駅のみ記載)

花咲線(根室本線の釧路~根室間)でも早朝と深夜に大きな変化が生じている。最も特筆すべきは早朝の1往復(釧路5:35→根室8:01、根室5:31→釧路8:05)が削減されたことだろう。

このうち、釧路行きは、JR北海道の利用調査(2023年度)によれば、途中の厚岸駅までは利用客は少ないものの、厚岸駅からは乗客数が急増して最大39人となる。おそらく釧路へ通学する生徒だろう。今回削減されない厚岸始発列車の乗客数は同じ調査で最大69人なので、2本合わせると朝に釧路へ向かう人の数は100人強。一部の生徒は早い電車に乗らざるを得なくなるが、輸送量の観点では2両つなげば十分に運べるレベルだと言える。また、根室から釧路への都市間輸送の観点では、都市間バスが平日のみながら根室駅前ターミナル5:35→釧路駅前8:20の時刻で運行されており、この便で代替することができる。

一方、根室行きを見てみると、終点の根室駅まで利用客は10人以下で、削減されたのもやむを得ないといった利用状況だ。一方、この列車は根室に朝早い時間に到着する唯一の列車であるため、根室市内の高校へ通う生徒はこの列車を使うしかなく、その意味では利用客は少なくとも不可欠な列車だったはずだ。しかし、高校の最寄り駅である東根室駅が2025年3月で廃止され、根室への通学は路線バスに切り替えることがすでに決まっている。利用客がいるにもかかわらず東根室駅の廃止に踏み切ったのは、この始発列車の廃止と密接な関係があるだろう。なお、釧路~根室間の長距離輸送の観点からは代替となるバス路線はなく、早朝に釧路から根室へ公共交通機関で移動することは不可能になる。

また、夜間では釧路20:35→厚岸21:33と、その折り返しである厚岸22:01→釧路23:04が廃止となる。夜間に利用が多い特別な事情があるわけでもなく、特に折り返し便の方はつねに乗客僅少だったと思われ、逆に今まで残っていたのが不思議なくらいの列車だ。22時前に釧路駅を発つ最終便は存置されるので、釧網線のように終電が極端に早くなるという状況にはならない。

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